ご挨拶
ご挨拶
第129回近畿救急医学研究会
会長 中村 誠昌
(長浜赤十字病院 救命救急センター長/医療社会事業部長)
この度、第129回近畿救急医学研究会を滋賀県立文化交流会館(滋賀県米原市)にて2025年3月20日(木曜日、春分の日)に開催させていただくことになりました。近畿のみならず日本の救急医学に黎明期から歴史を刻んできた当研究会の会長を務めることを大変光栄に存じます。
この会を滋賀県の北部で開催するのは初めてであり、地域の問題にも触れながら有意義なものにしていきたいと考えました。種々の統計資料によると滋賀県の救急搬送体制はかなり優れたものです。重症救急患者さんの受け入れに4回以上病院への問い合わせが必要だった、もしくは受け入れ病院が決まらず救急車が現場から30分以上出発できなかった割合はそれぞれ0.2%と1.6%です。これは全国で第2位と第4位の少なさで、救急現場から病院までの連携が非常にスムーズであることを示しています。一方でこれを支える消防・医療の人的状況を見てみると、救急科専門医は全国30位、約34人/100万人とトップの半分以下しかいません。救急医療に関連した認定・専門看護師数は全国14位ですが、その数は15人/100万人と、救急科専門医の半数にも満たない状態です。また救急現場のエキスパートである救急救命士の救急隊員中の割合も37位と低く、充実した救急医療体制を少ない人材で一生懸命支えていることが分かります。
このことを念頭に、今回の大会テーマを『夢をもち、夢を育む』としました。次世代の育成は非常に大切なのですが、後進の育成に携わる指導者側も自分達の仕事に夢と誇りを持っていることも大切だと考えています。今大会では一般演題に加え、中堅以上の指導層と若手層、あるいは現役世代と未来を担う学生達とをつなげることができるような企画を予定しています。もちろんその対象は医師だけではなく、看護師や救命救急士、薬剤師、臨床工学技士、診療放射線技師、社会福祉士など救急に携わる多くの職種を考えています。
救急医療体制は各府県の違いや都市部/過疎地域などの地域性により非常に多様な形で運用されており、それぞれ様々な課題を抱えています。今回はその中でも現役世代から将来の世代まで夢を繋いでいくことに焦点をあて皆で考えることができることを目指しています。意義のある研究会となるよう、当院のスタッフ一同、力を合わせて準備して参ります。